魅力的な挿絵の中に、たくさんのフランス文化が見えてきます。
第4巻の『リタとナントカ がっこうへいく』の表紙の絵にもなっていて、その回では何度も絵に登場する学校かばん。
日本のランドセルとは違って横長に四角いバッグになっています。
私がフランスの学校に通っていたときもみんなこういった形のバッグを背負っていました。
このような通学鞄は“cartable”(カルターブル)と言って、デザインはカジュアルなものが主流でしたが、
今はキャラクターものからシックなものまで様々なデザインがあります。素材もナイロンや革など色々あります。
私が使っていたものは定番タイプの布とナイロンを合わせた軽くて使いやすいバッグでした。
日本のように通っている間はずっと同じ幼稚園バッグやランドセルを持つということもなく、
ランドセルのように丈夫でお高いというわけでもありませんでした。
リーズナブルで自由だったので、途中で買い替える子もいれば、リュックサックにチェンジする子もいました。
最近では日本のランドセルが丈夫な上にお洒落だと海外の方に人気があるみたいですね。
フランスでも今年「RANDSELLIER PARIS」(ランドセリエ パリ)という日本のランドセルメーカーとTEIJINが
フランス人のために作ったブランドが上陸しました。
フランスの通学鞄は軽くて自由なのですが、中に入れていく教科書やノートがとても重いです。
教科書もノートも分厚くてしっかりしていて大きいのです。全部入れると10kgぐらいの重さがあったりします!
鞄はそんなに丈夫ではないのに、教科書やノートが丈夫すぎる…
学生のほとんどが持っているagenda(手帳)は連絡ノートのような日記のようなものなのですが 、
1日1ページのスケジュール帳になっているので分厚くて重みがあります。
最近、日本で流行っているほぼ日手帳のようなものです。それも毎日みんな持参していました。
それらの重さを考慮して、学生が持つリュックサックの底の部分には小さいキャスターがついているものもあります。
それだと重いときに、地面をコロコロ引っ張って運ぶことが出来るのです。
日本で年配の方なんかがショッピングカートという買い物鞄をよくコロコロ引っ張っている姿と重なるものがありました。
最近、買い物袋が重たい時にあれって便利なのではないかとふと心によぎることがあります。
妊婦さんや子供と手をつなぐ方には年配でなくてもおすすめなのではないかと思います。
私はあの頃使っていた横長の学校バッグcartableを見るとその時のにおいや思い出がわぁーっと溢れ出してきて、
なんとも他では味わえない気持ちになるので未だに捨てられずに置いています。
中学、高校になるとリュックサックが主流になります。私はリュックがどうも慣れなくてオフィスレディーが持っていそうな
書類バッグのような大きめの鞄で通学していました。
片方の肩に教科書やノートの重みがズシっと来るので毎日肩が引きちぎれそうだと思いながら通学していたのが懐かしいです。
(つづく)
著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。