第1巻の『リタとナントカ』で、リタは自分の誕生日の日にたくさんのプレゼントとケーキが用意されているにも関わらず
ご機嫌ななめです。
ずっと怒ったような顔をしています。その強気な感じがハキハキものを言う女の子の代表のような雰囲気です。
ムスッとしていて、少しワガママで強い口調なのであまり好きになれないような主人公かと最初は思いきや、
意外と優しくて純粋で愛にあふれた5歳児らしい女の子なのです。
それにしても誕生日に不機嫌とはこまったさんですね。
余談ですが女の子の方が誕生日にご機嫌ななめになる確率が高いようです。思い当たる方はいらっしゃいますか?
特別な日なのに!と期待し過ぎ故でしょうか。
リタは眉毛をつりあげながらもナントカに「おなかすいてるでしょ?」と自分のケーキをお裾分けして持ってきてあげたり、
文句を言いながらももらったプレゼントはちゃんと全部開けてひとしきり遊んだりと素直な一面もあります。
大人びた態度を取りたいだけで、相手のことも考えられるまだまだ純粋な小さい女の子なので、
読んでいる親の方もページを進めると可愛いなと魅了されていきます。
ナントカとの関係性も良いですね。第1巻のはじめで、ナントカは結構ひどい扱いも受けているのですが、
意外と何とも思っておらず、むしろそのことを楽しんでいそうな様子がすでに2人の相性の良さを物語っています。
私は犬を飼ったことがないので犬との信頼関係の築き方は分かりませんが、知人の娘さんと飼い犬の様子を見ていると、
娘さんが強気で一見犬が可哀想に見えるときもあったりしますが、小さい子のすることだと犬の方も理解しているようで、
怒らずにやらせてあげている姿に信頼関係が垣間見えました。
こうしてお互い怖がらずに心を開いて遊んでいるうちに、リタとナントカのようなかけがえのない親友になり家族になるのだろうなと思いました。
これはペットに限らず、子供の真っすぐで自分の気持ちに正直な、遠慮のない態度が築く特別な関係なのでしょう。
そんな子供の頃にしか出会えない特別な仲間や、自分が小さい頃に特別大切だったものを思い出して、
我が子にもそんな仲間が出来たら良いなと願いながら、
来年戌年の年賀状のデザイン候補にナントカも入れてみようかと思いを馳せてみる年末です。
福本舞衣子
著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。