第二回 フランス流「すぐ叱らない」「すぐ手助けしない」子育て

さてさて、お話の内容ですが、主人公のサーシャはいつも何かなくしてしまう小さな子供のクマ。

お父さんクマ、お母さんクマと一緒に暮らしています。

いつも何かが欠けてしまうことが嫌になってお片づけを始めます。

親に教えられたわけでもなく、お父さんやお母さんを見て思い付いた子供ながらの発想でお片づけをしていきます。

なるほど〜、これはお片づけが苦手な大人にもおすすめです!

そしてどんなオチが待っているかは小さなお子さんがいる方なら想像がつくかもしれませんね。

 

「やりなさい!」と言われる前に自分でやり始めるサーシャ、偉いですよね。

お母さんクマとお父さんクマは“なくしやさん”のサーシャに「片付けなさい!」と怒ることはありません。

お母さんクマは「なんでもなくすんだから…」とため息はつくものの「それより朝ごはんにしましょう!」と実に朗らか!

そんな温かい両親に育てられたサーシャは、物を失くすことは嫌だと自分で気付き、自らすすんでお片づけを始めるのです。

 

 

フランスでは子供の頃から自我を大切にします。

自らそうしたいと思わせることが大切だと言います。「やりなさい!」と怒られて嫌々やったとしても、あまり意味がないと考えます。

子供にはそれが嫌なことという思いしか残らないからです。

 

駄々をこねてやらないとつい親がやってしまうことってないですか?

フランス人はそれをしないそうです。やらなくてもあまり怒らない代わりに、やってあげることもありません。

自分で身をもって学ばせ、自ら動くようになるまで待つようです。

その分、子供に振り回されず、自分の時間を持っているので気持ちに余裕があるのかなと思います。

 

 

ところでサーシャがお片づけを進めていくと今までになくした物が見つかりました。

やっぱりなんでも一回ちゃんと整理をしたら大事な物が見えてくるんだとサーシャが気付かせてくれます。

 

シンプルでとても短いお話なのですが、何回も読み返していく内に親世代の方は人生についてすら考えてしまうような絵本です。

(つづく)

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くまのサーシャは なくしやさん

文/クレール・マジュレル

絵/ローラン・リエナール

訳/末松氷海子

出版社/童話館出版

刊行年/2006年(フランス・1994年)

価格/1300円(税抜)

当店取り扱い/入荷待ち

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著者プロフィール

福本舞衣子

家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、

フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。

著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。

星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉

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