安藝:今、いしずさんは絵本との出会いについて、とても大切なことをおっしゃっていて。
―はい。
安藝:本の存在を知ってもらうために読み聞かせのイベントがあります。
ただ、イベントだけでは魅力が伝わらないな、と思うんです。
その子その子に合った読み聞かせがあって、この『どうして そんなに ないてるの?』はいろんな読み方、
読み聞かせができる。みなさんひとりひとり、ご家庭でもやってほしいという思いがありますね。
―私自身、出張本屋をやらせていただいている場所で読み聞かせをすればもっと人が集まるのに、
と言われることがあります。でも、まだ迷いがありまして。
読み聞かせをアウトソーシングするのではなく、親と子で読んでほしい、という思いがあるんです。
安藝:それぞれのお父さんお母さんが、愛情込めてやることが大切、という。
―内容も重要ですが、同じくらい、子どもにとっては絵本を通して親と過ごす時間が大切ですからね。
でもそこに気づかず、読むのが苦手という親御さんもいらっしゃるし、
周囲の友人が本を読まない人が多いので読書を楽しむきっかけが提案できればと。
いしず:この絵本で読み聞かせのイベントをするとき、「どうして泣いてたの?」って
個々に話しを聞いたりしています。大人はもう覚えていないでしょうし、
もしかしたら興味深い理由を聞けるかもしれないですから。
安藝:手にとっていただくために読み聞かせのイベント自体を否定しているわけではなくて。
先日行なった書店での読み聞かせイベントもいいと思ったんですけど、ここで泣いてくださいとか、
と決めつけると違ってくる。それぞれこの本の良さを、10人いれば10人の感じ方があっていいんじゃないか。
この本はそれだけの包容力のある絵本だ、という気がするんですね。
いしず:本書の英訳動画も制作しました。英訳と朗読は、エリ・リャオさんというシンガーで、
まるで子守唄を歌っているような雰囲気です。
またこの動画のために、ギタリストのファルコンさんが曲をつけてくれました。
YouTubeで配信されています。ぜひ、ご覧ください。
安藝:字幕もついているので、英語での読み聞かせにもよいと思います。
―英訳動画はいいですね。拝聴しましたが、穏やかな声がとても心地よく感じました。
家庭で読み聞かせをする際、親御さんにまずは挑戦してみてもらいたいですね。
いしず:絵本は本来、文字がなくても絵だけで成立したものがあってもいいと思うのですが、
母親なり、両親なりの子どもへの「声かけ」が入ってきてはじめて完成するんだろうな、という思いもあって。
知人から聞いた話しでは、まだ文字を読めない女の子が、お母さんの読み聞かせだけで本文を覚え、
この本を朗読するようになったという話しには感動しました。
―不特定多数ではなく、親と子、という関係性でダイレクトに伝えると、
また気持ちの伝わり方は違いますよね。
※英訳動画はこちらからご覧いただけます※
(つづく)
どうして そんなに ないてるの?
作・絵/いしずまさし
刊行/えほんの杜
1,200円(税・送料別) 購入はこちら
☆当店ご購入のお客様先着10名様に英訳リーフレットをおつけしております☆
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著者・協力者プロフィール
いしず まさし/石津 昌嗣 1963年広島生まれ 作家/写真家/絵描き
武蔵野美術大学卒業後、グラフィックデザイナーを経て三年間海外を放浪する。旅の途中でダライ・ラマ氏を撮影(写真家として初のポートレイト)。帰国後、写真と執筆業に携わる。著書に『モメント イン ピース』(小説集/リトルモア)、週刊SPA! 連載の『東京遺跡』(写真・小説集/メディアファクトリー)、『あさやけのひみつ』(絵本/扶桑社)、他多数。最新刊は『どうして そんなに ないてるの?』(絵本/えほんの杜)。
『どうして そんなに ないてるの?』
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