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【第1回】芸術的な一家からうまれた『ぞうのババール』

『BABAR(ババール)』は1931年に出版されたフランス人作家ジャン・ド・ブリュノフの作品で、

フランスで知らない人はいないのではないかというぐらい有名な

“緑色のスーツを着こなし、黄色い王冠をかぶっているゾウ” が主人公のお話です。

 

緑のババール

 

フランスといったらババール!というぐらい有名なので、

ババールを見るたびにフランスと幼きあの頃の思い出が思い起こされる、私にとって特別なお話です。

 

日本ではどれほどの認知度があるのでしょう?

フランスでは知らないという人の方が少ないのではないかと思います。日本で言う『ドラえもん』みたいな存在でしょうか。そんな有名なこの絵本の『ババール』ですが生誕75周年を迎えた2006年に、フランス国立図書館で国宝に認定されました!

 

フランス国立図書館リシュリュー館

フランス国立図書館リシューリュー館(出典元:フランス国立図書館HP)

 

この絵本のストーリーは、作者の妻が寝る前のお話として自分の子供たちに話すために考えたことから生まれました。

よく話していたこのお話を2人の息子がとても気に入り、

画家だった父のジャン・ド・ブリュノフに話したことから、ババールが形になりました。

そんな第1冊目の絵本は『Histoire de Babar ~le petit éléphant~』、

日本語版は『ぞうのババール〜こどものころのおはなし〜』というタイトルです。

 

親子の就寝タイムになにげなく作ったお話がこんなに世界的に有名な物語になるなんて、素敵ですよね!

 

この家族は非常に芸術的な一家でした。

アーティスティックな一家で育った作者は、彼自身も絵の道に進み、兄弟はファッション誌『Vogue France』の編集長、

そしてババールの生みの親である妻はピアニストでその兄弟が画家、と才能溢れる一族でした。

そして編集者をしていた作者の妹の夫と自分の兄弟によって、『ババール』の出版が実現したのです。

 

 

 

芸術的な感性を持った夫婦が手を合わせて、子供たちを思うことで生まれた『ババール』の物語。

本当に素敵な夫婦で、親子で、家族だったのだろうなと思います。カラフルな色と音色に包まれ、家族を思う優しさの中からこの愛らしいゾウは息を吹き込まれ、誕生したのでしょう。

 

 

 


著者プロフィール

福本舞衣子

家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、

フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。

著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。

星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉

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