シロクマ:本屋さんをはじめてみて手ごたえは?
小張:二つ側面があって、紹介した本が売れると楽しいし、本屋って面白いなって。
本の並べ方とか、自分の裁量で面白くて。買い取りもその一つですね。
古本を買い取るとき、地域のお客さんから買い取ることが多いんですね。
すでに値段が決まっている新刊と違って、査定して売るという面白さがある。
近所の人と交流できるのも、楽しいですね。
古本だと持ってくる人から知らない本を教えてもらえる。やりはじめて、
全然知らない作家さんに出会うこともあります。誰かが読んだ本が他の人に行くという楽しさもある。
シロクマ:楽しいですね。
小張:一方で、本ってそんなに簡単に売れないということもわかって。
多くの一般の人にとっては本屋って重要じゃないんだなって。休日は人が通るけれども、
見向きもしない人が多い。のんびりしているようだけどスマホ見て歩く人も多いし。
面白そうと入ったけどすぐに出て行く人もいる。棚の並べ方もあるかも知れないけれど、
思っていたほど本が受け入れられているわけではない。一冊の本が売れるということは大変なんだ
ってことが実感できてよかったなって。勉強になりました。
シロクマ:本の業界にいると、本好きの人口が多いって思いがちですけど、意外と少ないですよね。
まーちゃん:なんで根津に開こうと思ったのですか?
小張:猫が好きだから、とか、文豪ゆかりの地で本好きが多い街だから、とか
数え上げるときりがないんですが、
このエリアにはカフェや洋服など独立している小さなお店が
たくさんあって、空気感が、人が生きているような、暮らしに根ざしているという感じがして、
ここでやるとお店同士の繋がりもできるんじゃないかな、とか、本を通したコミュニケーションが
生まれやすいんじゃないかな、と思ったことが一番大きい理由ですね。
シロクマ:本好きな人と、本以外のコミュニティがある場所というのはいいですね。
小張:本が今、好きな人だけのものになっちゃうのかな、という思いもあって。
今あまり読まないという人へもきっかけを提案できればいいなって思います。
ここには本が目当てじゃない、街歩きの途中でも来てくれる人がいて。メディアでも、
本好きじゃなくてぶらりと街歩きを楽しむ人向けの雑誌にも載せていただいて、
そういった店づくりを心掛けています。
ふらりと入って懐かしい絵本に出会ってくれたとき、
古本だとまた買うハードルが下がる。
シロクマ:本屋も、レコード女子のようにインスタアップして、本っておしゃれ!
ついでに家に飾るとよりおしゃれ!とかなればね。頭いい人が読むものとかでもないし。
私の町には今本屋がないんですけど、ふらっとコンビニに寄ることはあっても本屋に寄る機会がない。
小さい頃に身近にあるかないかは大人になってからの影響が大きいと思うんです。
こどもの通学路に本屋一軒あるといいなって。小規模でも、触れることが大事。
まーちゃんママ:私達のフォロワーさんには読み聞かせに関心あるお母さんが多いんです。
お悩みの相談とかいただくんですけど、母としてどうあるべきか、
自信が持てずに悩まれているのかなって思うところもあって。
アプローチの仕方に迷っている方は多いですね。
シロクマ:自分以外の人(こども)に本を選ぶからわからなくなるんですよね。
ちゃんと喜んでくれるものを選びたいという思いが強くて探してしまう。
でもまーちゃん達のお話しを聞いたら、もっとシンプルでいいんだなって。
親自身が楽しむことが大事だって改めて気づかされましたね。近くに本屋があることよりも、
その方が大切かも知れない。
まーちゃんママ:絵本を選ぶ時はおすすめの情報だけに限らず、
自分が気に入ったものからだんだんとまーちゃんの気持や感情に寄り添うものを、
洋服を選ぶように今日はこんな感じ、元気ないからこれ、と選んでいました。
シロクマ:こどもって結局親が好きだから、はじめは親の興味あることについてくるんですよね。
こどもが興味あるのかなと思ってやっても親が興味を示さなければ意味がない。
逆に、こどもが興味なくても親がつい夢中になっていると付き合ってくれたり(笑)
自分ありきでいいんだな、と言うのはお話しを聞いて感じて、実践してより感じましたね。
そこから楽になりました。
まーちゃんママ:本に興味があるというのはさかのぼれば絵本だと思うから。原点はそこ。
根っこにあると、あとは自然に本に移行していく感じがしました。
だんだんと自分の好みが出て選んでいく様子は親から見ていても面白いです。
(つづく)
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プロフィール
ひるねこBOOKS(小張隆)
童心社の営業として8年間勤めた後「ひるねこBOOKS」を根津にオープン。絵本や一般書のほか、北欧をテーマにした雑貨や書籍も取り扱っている。地域と連携したイベントや展示なども行っており、地域密着型の本屋さんとして町の人に愛されている本屋さん。
ひるねこBOOKS HP
https://www.hirunekobooks.com/
まーちゃん・まーちゃんママ
中学一年生の頃から「朝絵本を読むと心が落ち着く」という理由から、ライフワークのひとつとしてInstagramにて絵本の紹介を行っている親子。フォロワー数は2017年11月時点で2700人を超え、育児や読み聞かせに悩む親御さんから支持を集めている。
Instagram @nikilove48