イソール作/宇野和美訳
1,500円(税・配送手数料別)
―日本語版の『ちっちゃいさん』というタイトルはすぐに思い浮かんだのですか?
ちっちゃい子、というか、子どもだから、ちっちゃいさんにしてみようかな、と思ったんです。
色んなことを考えて浮かんできた言葉でした。
うちの長男が生まれたとき、私の姉が甥っ子を連れて遊びに来てくれて、
「ケンシ君はちっちゃいちっちゃいねー」と甥っ子にうちの子の頭をなでさせて語りかけていたのを思い出して。
ああ、ちっちゃいさんにしようかなーと思って。で、編集者さんも賛成してくれました。
―原文の文字と日本語の文字で絵とのバランスは崩れやすくなりますか?
原書では、イソールさんの書き文字が元になったフォントがあって、それを使っているんです。
アルファベットは文字が少ないから、日本語でフォントを作るよりずっと楽なんでしょうね。
なので、日本語版も書き文字に見えるよう意識しました。
―イソールフォントというのがあるのですね。文字選びから始めたのですか?
本当の手書き文字だと読みにくいので、
手書き文字っぽいフォントで何種類も見本を出してもらって選びました。
紙も、質感にこだわったんですよ。
―はい、ちょっと質感がほかの絵本と違いますよね。
元々線が入ったように印刷していて。つるつるしすぎない、原書に近い質感を目指しました。
淡い色なので色合わせがものすごく大変だっただろうと思います。
オレンジとか、4色で上手に合わせてくれて、この形になりました。
―表紙に落ち着きがあるのも、大人でも楽しめる絵本、という感じがします。
原書では中表紙になっている絵が表紙なんです。
でも、日本人にはこの顔はこわいんじゃないか、どうしよう、と話していたら、
フランス語版は裏表紙に使用している絵が表紙になっているのを知ったんです。
で、今の表紙の絵はどうだろう、ということになって。
イソールさんにことわって、この表紙になりました。
―ほかに、出版に向けて工夫した点などありますか?
難しかったのは、これページ数が多いんですよね。通常の絵本だと大体が32ページ、多くても40ページくらいですね。
でもこれは60ページ以上あるんです。多いので、オールカラーだと値段が高くなってしまう。
―確かに、あっという間に読めるけど、ページ数はありますね。どのように工夫されたのでしょうか。
絵本の大きさを原書よりやや小さくして、綴じ方も中綴じにするなど、工夫をして原価を抑えました。
そのあたりは編集者さんの手腕です。
通常だと、1800円くらいしてもおかしくないのですが、読者に手に取って頂きやすい1500円になりました。
―2015年に相談して2016年に発売ってわりと早いですよね。
そうですね。結構順調に行った方だと思います。
―発売直後の様子はいかがでしたか?
講談社の方が頑張ってくださって。
事前に、児童書売り場だけじゃなくて、一般書の売り場の人にもゲラのコピーを送ってくれたようです。
その際ご意見も頂いて、帯に書店員さんのコメントが入りました。
―好調な売れ行きだったのでしょうか?
今、新刊で出ても本屋でなかなか注文をとってもらえないそうですが、この絵本はとても恵まれていました。
事前に宣伝していたおかげですぐ売り切れになり、増刷がすぐにかかりました。
―帯にもありましたが、発売即重版というのはすごいですね!
広報に力を入れてくれたことは本当にありがたいなと思います。
(つづく)