『リサとガスパール』は本家のフランスよりも日本での方がさらに愛されているイメージがあります。
テーマパークがあるのも日本ですものね!グッズがこんなに発売されているのもフランスより日本です。
『リサとガスパール』のコラボレーションイベントも日本ではよく見かけます。
今の期間も“リサとガスパールのシトロンマルシェ”というイベントが有楽町マルイで開催中。それからあのサンリオの人気キャラクターであるキティちゃんとコラボした“リサとガスパールとハローキティショップ”も日本橋で期間限定開催中!さらにこのゴールデンウィークにも“リサとガスパールと遊ぶゴールデンウィーク”というイベントが!この短期間に3つもイベントが開催されていることからもいかに日本で愛されているキャラクターなのか分かります。
そんな日本に作者のお2人も良い印象を持ってくださっているみたいで、『リサとガスパール』シリーズに日本に関するお話が3作もあります!
『リサとガスパール にほんへいく(Gaspard et Lisa au Japon)』と
『リサとガスパール とうきょうへいく(Gaspard et Lisa à Tokyo)』と『Gaspard et Lisa et le poisson ballon(日本語版現在なし)』(直訳:ガスパールとリサとフグ)です。
作者のお2人が実際に日本を訪れたときの経験を元に書かれています。
ところで『リサとガスパール』はなぜこんなにも日本で人気があるのでしょう?
本やキャラクターの魅力はもちろんですが、パリに実際にある街並みがたくさん出てくる絵本なので、フランスが好きという人が多い日本ではさらに人気があるのでしょう。
『ムーミン』の人気が最近また高まっているのも、北欧ブームが1つの要因ではないでしょうか。
つまり物語やキャラクターから好きになった人もいれば、その背景にある国からファンになった人も少なくないのです。
好きな国があるって素敵なことだなと思います。
(ムーミンカフェ/Instagram@fuku.fukuu)
フランス、とくにパリは日本人にとても人気があります。成人して言われてみるまでそのことがあまりピンときていなかったのは私にとってもパリが特別な街だったからです。
日本でパリは“花の都”と呼ばれたりして、素敵でおしゃれで憧れの街のように取り上げられることが多いです。
実際に行ったことがある人のパリに対する評判はそんなに良くなかったりもするのですが…
それでもやっぱりあの街に魅了される人は多いのです。他の国の人々からもパリは憧れられていることが多いです。
例えばベストセラーになった『フランス人は10着しか服を持たない ~パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣~』という本。
もちろん内容の良さでこれだけ人気が出たのだと思いますが、これがもし違う国だったなら?フランスということでさらに興味を持った人はいると思います。
本の中身の良さから入る人と同時にタイトルの魅力から入る人も多いと思うのです。私もタイトルで選ぶことがあります。
他の国は他の国でまた魅力があるのですが、“フランス”や“パリ”は日本人の心をとりわけ魅了する力を持っています。
憧れを抱いている分、実際に行ってみて思い描いていたものと違った!となることもあると思います。
1歳からその街に住んでいた私は良い部分と同時にそうでない部分もいろいろと知っていますが、誰に何を言われようとも、もう1つの故郷と思っているほど特別な場所なのでパリに対する愛はずっと変わることがないと思います。
そんな街が舞台の内容も絵も魅力的な絵本なのですから、日本でこれだけ人気なのも納得です。
その中で日本が舞台のお話もあるのですから、ますます好かれるはずですよね!
さて、そんなリサとガスパールの日本旅行編ですが、パリジェンヌ・パリジャンであるリサとガスパールが日本に来て体験したことや思ったことが描かれているので、
日本人が読むとこういったことが海外からすると珍しいのかと「なるほどね」となって楽しいです。
『リサとガスパール にほんへいく』に登場する日本人のフクシマさん。とても良い人に描かれています。
これは作者が日本人は親切な人が多いと思ってくれていることから出来たお話だと思います。(インタビューで「日本人の親切さに驚いた」とありました)
フクシマさんはよくフランスで見た“日本人”といえばな見た目をしていて、やっぱりそういう印象なのだなと思いました。
どんな風にフランスで日本人が象徴的に描かれているかというと、“眼鏡”、“カメラ”が大体ワンセットになっていました。
確かに日本人の眼鏡率は高いです。
そしてカメラ付き携帯電話を世界で初めて販売したのも日本のメーカー、世界に出回っている有名なカメラのほとんどが日本のメーカー、“プリクラ”(リサも『リサとガスパール とうきょうへいく』でプリクラを体験!)や“写メ”が流行ったのも日本とやはりカメラ、写真好きな国民ですよね。
そんな私も写真を撮るのが大好きです。
『リサとガスパール にほんへいく』の中で好きなシーンがあります。それはお寺見学に来たリサとガスパールがスリッパを履いているシーンです。
普段から靴を履いていない2人なのですが、スリッパはちゃんと履いて、それがぶかぶかなのがまた可愛いのです。
そんな慣れないスリッパのせいでその後とんでもないことが起こってしまうのですが…。
フランス人にとって靴をぬぐのは家でくつろぐ時間ぐらい。外でぬぐことは基本的にありません。
家の中で靴をぬぐという日本人のスタイルは周知されてきていますが、外でも靴をぬぐことがあるということがフランス暮らしの作者には印象深かったのかもしれませんね。
(つづく)
著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。