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―こんにちは。今日はよろしくお願いします。
―よろしくお願いします。
―福本さんが、初めてフランスに行かれたのは幼稚園の頃ですか?
―1歳で渡仏したのですが、当時は幼かったので現地の子供達ともよく遊んでいました。
あの頃は言語の壁などは全く気にしていませんでした。
―幼い頃は順応性がとても優れていますよね。
そこから小学生を迎える頃には日本に戻っていて、
次に渡仏したのはいつ頃ですか?
―中学を卒業してからだったので、15歳からです。現地の学校に通っていました。
―現地の学校ということは、周囲はみなフランス語ができるのでしょうか。
当時、福本さんもフランス語はマスターしていたのですか?
―いいえ、全然!
フランス語なんてすっかり忘れていたので感覚が戻るとか、そういうこともなく、とても大変でした。
―うわぁ、大変ですね。
現地の学校に通いながら、どうやってフランス語を習得されてきたのでしょうか。
―日本語セクションという追加コースがあって、私以外の日本人を含めてフランス語を教える授業があったんです。
午後にフランス人の同級生たちが体育などの授業を受けている間、フランス語の授業を受けていました。
そこで『星の王子さま』が教科書で使われたのです。
―それが、『星の王子さま』との最初の出会いだった?
―いいえ、初めて読んだのは幼い頃父が買ってきてくれた本でした。
当時はまだ読めなかったので、絵だけ見て楽しんでいました。
―高校で、再び『星の王子さま』に出会った時は嬉しかったのでしょうか。
―いやもう、全然。本当に一年間は上達しなくてもう逃げ出したくなってしまうくらい…
フランス語も、星の王子さまも。
あまりにもなかなか上達しなかったので、日本に帰った方が良いのでは…
とも悩んでいた時に、父が星の王子さまのカセットテープを買ってくれたんです。
星の王子さまと仲良くなれたカセットテープ(写真/福本舞衣子 @fukufukuu )
―文字を見て文法や男性名詞などを学ぶ形から、音で学ぶ形になった、と。
―はい。カセットテープを毎夜セットして、耳で物語を聞くようになって。
そしたら、急にぱあっとわかるようになったんです。
―耳が慣れていたのでしょうか。
―おそらくは、幼い頃住んでいたので、フランス語を聞くということには慣れていたのだろうなと今となっては思うんですけどね。
耳から聞くことで星の王子さまの物語がどんどん入ってくるようになって、
そこからですね、星の王子さまの魅力に気付いたのは。
―高校での再会から一年が経ち、星の王子さまと友達になれた。
―日本語も読んでいたので、ストーリーは知っていたのですが、
全然印象が違っていて。だからこそ、余計にその面白さに惹かれたのだと思います。
―日本語では、どんな印象を持たれていたのですか?
―初めて自分で読んだのは小学生だったのですけど、当時は難しく感じていたんです。
困っているパイロットの前に突然現れて、「絵を描いてよ!」ってワガママだなって…(笑)
―確かに(笑)年齢によって印象は違ってきますよね。
―フランス語だと違和感なく入ってきたので、毎夜会うのが楽しみになるようになりました。
(つづく)
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著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。
Instagram @fukufukuu