作者のクレール・マジュレルは他にも何冊か絵本を出していますが、
毎冊、絵は違う人が描いています。
クレール・マジュレルは学生時代は、パリの美術学校で勉強していました。
ちなみに彼女はノルマンディー地方の出身です。
フランス北部、イギリス側にあり、パリから車で約4時間ほどの所です。
海に面した場所にあるノルマンディー地方は、自然豊かな緑に囲まれ、都会志向のパリとは違った魅力を持っています。
ノルマンディーといえば、モン・サン=ミッシェルや画家クロード・モネの邸宅と庭園で有名なジヴェルニーがあります。
さて、パリでの学生時代の後、クレール・マジュレル は10年以上ニューヨークに住み、お話の制作などに勤しんでいました。
その後、ベルギーの首都ブリュッセルで活動を始めました。
『くまのサーシャはなくしやさん』の絵を担当した ローラン・リエナールはベルギーの人なので、
彼女がブリュッセルにいたときに出会ったのでしょうか。
ベルギーも公用語にフランス語があるので、やはり通じるものがあるのでしょう。文と絵がとてもマッチしているなと感じました。
作家クレール・マジュレルの素顔はほとんど明かされていないのですが
こんな風に色々な都市で暮らしたことが彼女の作品に豊かな色をつけたのだろうな、と
彼女の絵本を読むと思います。
やはり色々な景色を見るということはインスピレーションを養うのにとても大切なことだと私は思うのです。
『くまのサーシャはなくしやさん』はノルマンディーで過ごした子供時代を思って書かれたものなのかなと思いました。
優しいクマの家族がふかふかのベッドから起きてくる場面、外の鳥たちが「おきなさい」と歌っているから目覚めるというところをみると、ノルマンディーの緑に囲まれた風景が浮かんできます。そこに都会とはまた違う温かみを感じました。
(つづく)
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くまのサーシャは なくしやさん
文/クレール・マジュレル
絵/ローラン・リエナール
訳/末松氷海子
出版社/童話館出版
刊行年/2006年(フランス・1994年)
価格/1300円(税抜)
当店取り扱い/入荷待ち
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著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。