学陽書房/1,600円(税・配送手数料別)
―本日はよろしくお願いします。
私自身がこの本に出会ったのは、長女がアトピー・アレルギーで、
マクロビオティックについて調べていたときでした。
そうなんですね
―プロローグで、「スープ」の定義について、母乳や離乳食もスープ、流動食もスープ、とおっしゃっていて。
今、同居や近居の方が増えている中、幼児も高齢者も、どちらも同じ食事を楽しめるんだな、と感じました。
おじいちゃんだけ介護食、と分ける必要もなく作り手の負担も楽になるのかな、と。
なるほど~。いい話を聞かせていただきました。
―塩分はあとで足せますし、老若男女集まる家でのスープの重要性を感じたんですね。
『THE SOUP』では材料を「にんじん何本」ではなく「にんじん何グラム」にしていますが、
それは正確さを重視してのことでしょうか。
これは初めて作った本で、表現について、編集者の方とどういう形が一番いいのかなって相談しながら決めました。
たまねぎ1個でも重みが違えば味も変わってしまうし…
もちろん、人によって好みは違うので、そこから適宜調整していただければと思っています。
―とても丁寧に、野菜の「性格」を尊重しながら書かれているな、と感じました。
食材に対する愛情が深すぎて(笑)
細かく伝えたいという思いが詰まったレシピ本になっていると思います。
―レストランではスープ以外も提供されていますが、
スープのみの料理本にした理由はなにかあるのでしょうか。
さっきのプロローグの話じゃないですけど、料理の種類で言えば、スープって長く食されるものなんですね。
どこの国の文化にもスープはある。煮込み料理もそうですし、海・山・内地どの場所でもスープは作られる。
そういう意味でもおもしろいかな。と思ったのが理由のひとつです。
―確かに。イタリアのミネストローネを日本風に、と言っていたり、
国を超えてアレンジの提案なんかも『THE SOUP』ではされていますよね。
日本風に、なんて勝手なこと言ってますけど(笑)
日本でも一汁三菜という言葉があるくらい汁ものって重要ですよね。
汁ものを先に食す、と聞いたことがあるのですが、食の最初に持ってくるくらい、スープは健康に大切ですか?
人間の体の60-70%は水でできているように、汁もの、水分は吸収されやすいんです。
負担なく摂取することができる。スピードも速いし楽に吸収できるんですよ。
単純に内臓を温めるという意味でも先に食べることは理にかなっているんじゃないかなって思います。
―なるほど。仮に具を食べる元気がなくても栄養素がスープに出ていることも?
固形のものが喉を通らない、たとえば、高熱とかお腹壊したりといった場合でも、使いやすいですよね。
―うちの場合、長女の食が細くて朝ごはんもなかなか食べないんですが、
そういう時でもただ飲むだけで体が温まって栄養が取れるのは、いいですね。
目の前に出された食事を「食べなきゃいけない」と思うのは辛いですよね。
食事に表情というか、楽しい要素や雰囲気を出せたらとは思います。
私達姉妹で感じたのが、健康食ってまじめで難しい。
気軽に楽しいとかおいしい、というのとは距離があるような感じがしてしまうんです。
―味は薄いけど食べなきゃいけない、みたいな。
体にいいから食べる、体をあっためる、みたいなのが多いと感じていて。
お野菜って楽しいし美しいし美味しいんだよ、というところにフォーカスしたくて、
『THE SOUP』では自然と人間を溶け込ませてみたんです。ただ眺めているだけでも元気になるような一冊にしたかった。
―本を出して、周囲の反応はいかがですか?
いろんな意見を頂戴します。おいしくできたよ、と言ってもらったりとか、ひとつに入る材料が多い、とか(笑)
―具材が多いものもありますけど、これさえ食べれば大丈夫、という作り手が楽な面もありますよね。
最近はスープの専門店ができるなど、注目されるようになりましたが、なかなかスープが主役になることってないんですよね。
―『THE SOUP』はデザイン的にも見ていて楽しい、というのも魅力の一つですよね。
写真集的に眺めるというか、飾るだけでも楽しいというか。
目で楽しむ料理、というのもこの本の目的のひとつなので、飾るだけでも嬉しいです。
(つづく)
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著者プロフィール
橋本明朱花
マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を
行っていた。美術を学んだ後、国際協力関係の仕事に就いたことをきっかけに「食」を通した
ソーシャルツールに興味をもち、東京で飲食店を開店。東日本大震災を機に京都へ居を移し
ベジカフェ「TOSCA」をオープン。国内外からお客さんが訪れる。
橋本朋果
姉と同じく、マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を
行っていた。TOSCAではデザインを担当し、料理や内装の装飾などに携わる。現在はTOSCAを離れ、
食とデザインについての活動を行っている。
TOSCA
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