学陽書房/1,600円(税・配送手数料別)
―プロフィールを拝見していると生まれた時からマクロビオティックで育ったのですか?
はい、そうですね。母はすでにマクロビオティックを実践していたので、生まれる前からマクロビオティックですね。
リトリートや実践を40年以上している変わり者の両親なんです。福島県のいわき市で生まれて、中学卒業までいました。
―学校でもマクロビオティックを実践されていたのでしょうか。
給食ではなく、お弁当を持って行っていました。幼少期はもう本当に肉・魚・添加物・乳製品取らずで。
わりと人間育つもんだな、なんて笑ってます。
―実際そんなに摂取する必要はない、と言われていますよね。たんぱく質は豆で採れますし。
日本人は、もともと農耕民族ですからね。
―そもそも動物だって、捕食する動物もいますが、牛や豚は草を食べてますよね。
私たちは、草を食べている動物を食べているんですよね。元は、と考えると肉魚なくてもいいのかな、って思います。
大人になってからお肉などを食べることでしんどさってありますか?
―ありますね。体が作られていない、と感じます。慣れもあると思います。
―インドに行ったらお腹を壊す、みたいな、普段慣れないものを食べると調子が悪くなるような感覚ですか?
そうですね。食べるものによって体のリアクションは変わりますね。
やっぱり一番馴染むのはずっとやってきたマクロビオティックです。一度も大病することなく、健康に来れました。
―妹さんと、ご家族と、ずっとマクロビオティックで生活されていたのですね。憧れます。
妹だけではなくて、5人兄弟なんです。
―あ、自然出産ですか?
ここに本があるんですけど。
右:『自然に産みたい』橋本知亜季(地湧社)
―あ、橋本知亜季さん。『THE SOUP』にも巻末に名前が載っていらっしゃいますね。
5人産めるなんて、うらやましいです(笑)当時、自然の場所を求めて福島に引っ越されたのですか。
父は北海道、母は愛媛の出身で、東京で暮らしていたのですが、子供を生み育てるなら自然がいいね、と福島に。
畑も耕していました。
―どんなものを作っていたのですか?
年中通して育つものはなんでもです。育ったものを食べていました。
―夏、我が家でも小さな庭でナスとかミニトマトを育てたりしますが、
たとえば冬とかだと何があるんでしょうか?
―大根や白菜、ほうれん草ですね。
―種から育てられて?
そうですね。撒いて、苗を作って。日常の一部でした。
―今、本を拝見していたんですが、全員の出産体験談を、時系列に書かれているんですね。
そのなかで家作りとか、この子供が生まれた時にはこんなことをしていたよ、と紹介していらっしゃる。
今でも活動はされていらっしゃるのですか?
父は70歳、母は63歳なので、以前ほどではないですが、現在も海外での活動もしています。
―現在、共著の妹さんはニュージーランドでの滞在経験を経て、
日本でデザインの仕事に挑戦されていらっしゃるとのことですが、食に関するお仕事もなさっているのですか?
妹は食もデザインと繋がるところがあるので、どちらもやっています。
―NZでは、マクロビオティックのお仕事を? 確か、牛が有名でしたっけ。
NZは羊ですね。でも、ビーガンやベジタリアンも増えているみたいです。
エシカル(環境的な視点)から、食スタイルを変えていこうということが行われているようですね。
―食と自然の関係、という点でお二人ともご自身の幼少期からの体験が重要になっているように思います。
価値観だとは思いますけど、兄弟は皆好きなようにやっていますけど、やっぱりやるなら大地を汚す方法じゃない、
というのは共通しているかもしれません。
今まだギリギリ大丈夫、綺麗な自然が残っているといいよね、と。
―はい。
自分や家族の体調、心身ともに健康じゃないと体のことばかり思いますけどメンタルにも影響は出ますし、
自分が大変だとできなくて当たり前なんです。
健やかな体と健やかな心と気持ちがあれば隣の人のことを想いやったり気遣ったりできて、
その積み重ねでそうだよね、地球壊しちゃいけないよね。となればいいな、と願っています。
―マクロビオティックを行っている方は同時に自然と環境保護などに積極的な方が多いように思うのですが、
自然とそちらへ視野は向いていくものなのでしょうか。
実際、肉や魚を食べていても環境に興味を持っている方もいらっしゃるし、魅力的な方もいますので、
一概には言えないと思います。マクロビオティックというのは、食事法の名前ではなくて実は思想哲学なんです。
体や心のバランスを整えることを軸にしていくなかで、自然とのバランスも意識するようになるので、
環境に関心を持つようになるのだと思います。
その先に、自然環境と人間の共生や世界平和などが見えてくるのかもしれない、というアイディアのようなもの、というのが私の理解です。
―マクロビオティックが食事法ではなく、思想哲学というのは初めて知りました。
心と体を整える、そのために、食事も整える、という思想の延長線上に食事があったのですね。
(つづく)
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著者プロフィール
橋本明朱花
マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を
行っていた。美術を学んだ後、国際協力関係の仕事に就いたことをきっかけに「食」を通した
ソーシャルツールに興味をもち、東京で飲食店を開店。東日本大震災を機に京都へ居を移し
ベジカフェ「TOSCA」をオープン。国内外からお客さんが訪れる。
橋本朋果
姉と同じく、マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を
行っていた。TOSCAではデザインを担当し、料理や内装の装飾などに携わる。現在はTOSCAを離れ、
食とデザインについての活動を行っている。
TOSCA
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