第五回 食卓から生まれる笑顔を、レストランでも届けたい

THE SOUP
THE SOUP 
学陽書房/1,600円(税・配送手数料別)

ここには、家庭でも作れるレシピを紹介しているのですが、まずは内容よりも中身を見て、

楽しんでもらえたらいいなと思います。実際に作るよりも…って言うと、レシピ本なのにいいのかって話ですが(笑)

いろんな表情がごはんにはあるんだってことを知ってもらえればいいかなと。

 

―どういうイメージでご飯を食べるか、と栄養素とかを前面に出さずに、精神面とともにある食、

という形で説明しているな、と思いました。しょうがを食べれば体内温度アップしますよ!という説明ではないところとか。

そうですね。

 

―ただ単に健康だけに訴えるのではなく、自然と繋がっているということを伝えているという点では読み物的な要素もあって、

個人的にはすごい好きだなと思うレシピ本だと感じました。

ありがとうございます。

 

―目次の、カテゴリですけど、先ほども言ったように独特で。この、10の言葉にお二人の料理に対する思いが込められているんですよね。smileやenjoy、ということが。

笑顔とか、楽しみを作り手側が忘れちゃいけないということを感じます。

そういった思いもあります。もうひとつ、紹介しているレシピは、季節が混ざるような作り方ではなく、基本的には1つのレシピに対してその季節に獲れるものを使用していることにもこだわっています。トマトとペコロスとか。

 

―ミネストローネだと洋風はズッキニーなど夏だけど、ここで紹介している日本風はかぶとれんこんで冬物ですよね。

ひとつのレシピでひとつの季節の野菜が詰まっている。わざわざ知識として旬なものをまとめるページを作るのではなく、

ただ料理するだけで季節に合わせた料理が完成する、という本ですよね。

学ぶ要素は何も入れていなくて、作って楽しむことをメインで作りました。手間のかかる料理も掲載していますが、

こんな方法もあるよ、くらいで捉えていただければ。

 

―ちなみにスープの次に挑戦したい料理本はなんでしょうか。

サラダかお米に挑戦したいですね。もっとご飯を食べてほしいですね。

 

―ご飯というのは、白米ではなく玄米や雑穀ですか?

白米も含めて、玄米でもお米をおいしく。いろんなお米も食べてほしいですよね。

 

―マクロビオティックや健康と言うと、玄米のイメージがあります。

お米だけを見たら玄米で栄養は充分ということになりますが、玄米だけでリッチな重さになってしまうという面もあるんです。

お子さんや体質によっては、おかずを増やすことで白米を楽しむこともできるし、そういった提案ができればいいかな、と。

 

―なるほど。確かに、玄米だけでもう充分、となりますね。

おいしいと思えないものは食べなくていいんです。正しいものを食べるのではなく、自分にとってなにがよいのか、と。

だからといってジャンキーばかりというわけではないですけど。

 

―砂糖や油ものなど、麻薬的な美味しさではなく、体が本当に喜ぶもの、という視点ですね。

ジャンキーなものでも、正解に幅があっていいと思うんです。今日はこのくらいかな、とか今日はもういいや、とか。

ほとんどの人が二回以上食事するので、そこでストレスを感じないことも健康には大切かな、と思いますし。

 

―確かに、食事制限の人は日に数度、辛い時間となってしまいますよね。

食事の時間は、楽しいことを取り入れないと。美味しい・楽しい・美しいの3つですね。

 

―美味しい・楽しい・美しいは、今のこのトスカでも実践されていることですよね。

明朱花さんは今もシェフとして現場に立っていらっしゃるんですよね。

はい、週の半分くらいは現場に立っていますね。

ほかにも4、5人の仲間と一緒にやっています。。

 

―特定のメニューはなく、季節に合わせた料理を提供されているのですか?

季節に合わせた料理というか、基本的に京都や奈良など地産地消で、

ローカルでまとめています。フードマイレージもありますし。

 

―京都や奈良は野菜の産地でもありますよね。

畑でできたものをいただいてから考えています。冬にトマトほしいからちょうだい、ではなく、

自然にできるものを使うという流れですね。そこから、その日の料理が生まれます。

 

―こちらから食材を指定するのではなくて。

必要な食材と言うのは、畑が教えてくれるんです。たとえば、本来冬にできないトマトなどを使うと、寒い冬に無駄なエネルギーを使うことになって健康にもよくないんです。

冬の野菜は冬に食べるから強くしてくれるので、地産地消とか、もったいないとか、古き良き日本の姿を、レストランの料理として表現したいと思っています。

 

―自然の恵みを、目でも楽しめる料理に変える。

畑から採れたものを食卓に、という、「ファームトゥテーブル」という考え方ですね。

 

―同じ夏でも、ナスがなければ、ナスは使わずにたくさん採れたトマトをメインにする、ということですね。

メニューは月ごとに変えていますが、そのような理由で、具材の野菜はその時々で変化します。

 

―来るたびに楽しみがありますね。国外の方も、家族連れなど見受けられますが京都と言う土地から柄多くいらっしゃるのですか?

そうですね。

 

―それは、たまたま見つけた、というのではなく、海外でも情報があるのでしょうか。

そうみたいですね。海外で情報を仕入れて来られる方もいらっしゃいます。

 

―お店のショップカードに、ベビーカーウェルカムというのがあって、可愛くイラストも添えられていますよね。これは海外の方にも伝わるよう意識されているのでしょうか。

イラストは妹が描いたんですけど、特に意識していないと思います。

 

ショップカードにはベビーカーwelcomeの絵が描かれている

 

―この本を知ったのは最初にお伝えしたようにマクロビオティックを知り始めた頃なんですが、

お店の存在を知ったのは『あかちゃんと一緒 京都おでかけ手帖』の制作者である

早川さんに教えていただいたことがきっかけだったんです。

そうなんですか。取材に来ていただきましたよ。

 

―うちでもインタビューに答えてくださったんですけど、とにかく掲載店舗へのこだわりを強く持っていらして。

本当に、子供と親が心からくつろげるお店を、男の子女の子、どちらの視点も意識しながらセレクトされている

お話しをうかがっていたので、今日初めてきて、実感しました。

ありがとうございます。

 

―実際に店舗を持っている方の料理本なので、気になる方は直接料理を食べることができるのも、

この本とお店の魅力ですよね。今度、家族を連れて私もゆっくり食べに来たいと思います。

 

(おわり)

 

この本の魅力は、なんといっても本で紹介されたレシピの世界観をレストランで楽しめるというところにあると思います。

レストランでは季節の恵を受けた食材を使った料理を楽しむことができます。

『THE SOUP』には登場しないスープとも出会えます!

京都を訪れた際は、ぜひ訪れてみてください。

明朱花さん、ありがとうございました!

 

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著者プロフィール

橋本明朱花

マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を

行っていた。美術を学んだ後、国際協力関係の仕事に就いたことをきっかけに「食」を通した

ソーシャルツールに興味をもち、東京で飲食店を開店。東日本大震災を機に京都へ居を移し

ベジカフェ「TOSCA」をオープン。国内外からお客さんが訪れる。

橋本朋果

姉と同じく、マクロビオティックを実践している両親のもとで育ち、家では自然に囲まれながら家族と自家栽培を

行っていた。TOSCAではデザインを担当し、料理や内装の装飾などに携わる。現在はTOSCAを離れ、

食とデザインについての活動を行っている。

TOSCA

<店舗情報>

〒606-8224

京都府京都市左京区北白川追分町67-7 中村ビル1F

火~日・祝前日・祝日
ランチ 11:30~15:00(L.O.14:30)
ディナー 18:00~22:00(L.O.21:00、ドリンクL.O.21:30)
電話:075-721-7779

※イベント出店や貸し切りなどの際は営業時間に変更が生じる場合があります。TOSCAさんに行かれる際は、事前に電話などで確認をお願いいたします。

HP

http://www.tosca-kyoto.com/

FBページ

https://www.facebook.com/VegecafeDiningTosca/

 

 


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