―今回、この絵本はいしずさんがお父さんの目線で描かれていると感じます。
男性育児が盛んな中で、まだ母親向けの絵本がほとんどです。
この本は、夫婦で読めて楽しいというか、夫婦でも読めるなと思うんですよね。
お父さんが読んでも拗ねない。
安藝:確かに、男性読者からは、お母さん目線じゃないのがいい、という声はいただきますね。
―兄弟で考えるきっかけにもなればと思うんですよね。
いろんな年齢の方々の視点で捉えられるのも魅力だなと。
私は親子目線で思うけど、大人向けと捉える方もいらっしゃるんでしょうか。
安藝:60代の小説家の方にゲラを見せたら、「俺はこういうのが書きたかったんだよ!」と言われました。
何歳のために、というのではなく、おじいちゃん、おにいちゃんにも幅広く読んでいただけるような
本になっていると思います。
―気持ちの切り替えで親にとっても大切な絵本になるんじゃないか、という気はしますね。
安藝:お母さんからは「あのどうしようもなくつらかった夜に、この本に出会えていたら、
もう少しやさしくなれたかも」という声は多いです。
―私も、同じように感じました。だからこそ、私自身も今育児に必死な友人たちに贈りたい絵本です。
へたに「がんばって」とか「だいじょうぶ?」と声をかけなくても、この一冊で伝わる気がします。
安藝:とにかく、出会いですよね。何歳向け、というターゲットだけを考えた絵本じゃなく。
作者の切実な表現を読者にどう伝えるか、繋げるか。
売り上げを伸ばすために「◯歳向け」と書くこともあるけれど、そうではなくて、本当に伝えたい本を伝える。
「ほんをうえるプロジェクト」など着実な芽生えもあります。
絵本も本も、作るまで、できるまでがすべてではなくて、読者の方に伝わること、
そういったひとつずつの積み重ねが大切だと思っています。
みなさんにこの本をここまで育てていただいて、願わくばすくすくと成長してくれたらと。
「父子」写真提供/石津昌嗣
今回のインタビューを通して、
ひとつの絵本にはさまざまな人が関わっていらっしゃること、
みな、愛情深く絵本に接していることがとてもよく感じられました。
たくさんの出会いの積み重ねがあり、読者に渡る『どうして そんなに ないてるの?』は
これからもきっと、作り手の温もりとともに、皆さんの元へ届くのだろうな、と思います。
いや、むしろ、当店では作り手の皆さんの思いも必ず届けたい!!
いしずさん、編集者の安藝さん、「ほんをうえるプロジェクト」の長澤さん
インタビュー、ありがとうございました。
『どうして そんなに ないてるの?』は引き続き当店で取り扱っています。
先着10名様に英訳リーフレットをお届けいたします。
以下、詳細です。
どうして そんなに ないてるの?
作・絵/いしずまさし
刊行/えほんの杜
1,200円(税・送料別) 購入はこちら
☆当店ご購入のお客様先着10名様に英訳リーフレットをおつけしております☆
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著者・協力者プロフィール
いしず まさし/石津 昌嗣 1963年広島生まれ 作家/写真家/絵描き
武蔵野美術大学卒業後、グラフィックデザイナーを経て三年間海外を放浪する。旅の途中でダライ・ラマ氏を撮影(写真家として初のポートレイト)。帰国後、写真と執筆業に携わる。著書に『モメント イン ピース』(小説集/リトルモア)、週刊SPA! 連載の『東京遺跡』(写真・小説集/メディアファクトリー)、『あさやけのひみつ』(絵本/扶桑社)、他多数。最新刊は『どうして そんなに ないてるの?』(絵本/えほんの杜)。
『どうして そんなに ないてるの?』
Instagram https://www.instagram.com/doushitesonnani/
Twitter https://twitter.com/doushitesonnani
「ほんをうえるプロジェクト」
ほんとうに面白い本をベストセラーに育てていくために本の問屋・トーハンがはじめたプロジェクトです。
ほんをうえるプロジェクトメンバーが選んだとっておきの一冊をご紹介しています。