ところでババールのスーツの色はなぜ緑色なのだろうとふと思いました。
フランスで長年愛されてきた国民的キャラクターたちは緑色の服を着ていることが多い印象があります。
世界的に有名な『星の王子さま』や、100年以上愛されてきたフランス版『サザエさん』
のようなコミック『ベカシーヌちゃん』もグリーンカラーの服を着ています。
なぜ緑が人気なのでしょう。
フランス語で緑は “vert” と書き、「緑」の他に「若い」や「はつらつとした」や「荒っぽい」という意味もあります。
その意味からも、親から見た子供を表すような色な気がします。
たしかにこの主人公たちは若い心を持ち、エネルギッシュなイメージがあります。
日本ではこの場合、「青」を使うことが多いですよね。「青春」や「青二才」、「青写真」など。
日本では「若い」という意味合いの時には「緑」ではなく、「青」を使う傾向にあるのですね。
そこでふと思い出したのが信号のことです。
まだ日本語が完璧ではないままの小さい頃に日本に帰国した時、なぜ信号の“進め”の色を日本人のみんなが「青」と言うのか疑問でした。
どう見ても緑色なのに、どうして「青信号」と言うのか。
どうやら日本では緑という表現が昔はあまり無かったことに由来しているようですね。
どうりで、見るからに緑色のリンゴのことを「青りんご」、見るからに緑色の『はらぺこあおむし』のような虫のことを「青虫」と呼ぶわけです。
ちなみにフランスでは信号の“進め”は「緑」と言います。そして黄信号は「オレンジ」と言っていました。
緑色は爽やかで明るい風を感じる色なので、そんなグリーンカラーの装いのキャラクターには好感が持てます。
日本でも好かれる色ですよね。
日本にも緑色がキーカラーのキャラクターっていたかなと考えてみたのですが…
1番に思いついたのは『ドラえもん』でした。やっぱり「青」です!
公式HPより
落ち着いてもう一度緑色のキャラクターを思い出してみるといくつか思い出しました。
ガチャピン、ルイージ、ヨッシー、けろけろけろっぴ、ピッコロ。
そこで気付いたのは、主役ではなく、2番目のポジションであったりすることが多いということ。
5レンジャーでもそうですが、日本では目立つ赤が主役の色というイメージですね。
逆にフランスで赤色のキャラクターというと、チーズメーカーのイメージキャラクターになっている赤い牛ぐらいしか私は思いつきません。
絵本を読むときにその色についても考えてみると、思わぬ発見に行き着いたりするので楽しいですよね!
私も絵本を描く際には色にも思いを込めて描けたらなと思います。
著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。