第1巻『リタとナントカ』の絵の中にもフランス要素を発見出来ます。
このお話ではお家でのシーンがほとんどなのでフランスの家庭内にある文化を見ることが出来ます。
まず壁にあるコンセントの差し口。リタファミリーの部屋の壁をよく見ると描かれているのですが、
なにか日本とは違うところに気付きます。
日本だとブタの鼻みたいな2本の短い縦線の穴が長方形のところに開いているのが一般的ですよね。
でもフランスはプラグが丸いものが多いので、差し口も丸くなっています。そしてプラグの2本の先っぽも丸くなっているので差し込み穴も大きめのドット2つのような丸い形状をしています。その2つの穴の上に漏電防止用の1本ピンが出ているタイプもあります。
日本より差し込み口が深くなるような形をしているので、それを使っていた私は日本よりコンセントプラグが抜けにくいなと感じていました。なぜ深い形なのかというとフランスは電圧が高いので感電しないようにそうなっているのだと思われます。
『リタとナントカ』第1話にはドラム式洗濯機も登場します。これは最近の日本の家庭でも増えてきていますよね。
私は1歳の頃からフランスに住んでいたので、帰国後に見た縦型タイプの洗濯機は不思議なものでした。
絵では描かれていないことですが、フランスではお湯で洗濯するのが一般的です。
最高で90度ぐらいまで温度を上げることが出来ます。そして洗い上がるまでにとても時間がかかります。
だいたい2時間ぐらいでしょうか。設定によっては3時間ぐらいかかることも…
長年フランスで洗濯機を回し続けた母によると、黒い衣類が色落ちしてくるのはもちろんですが、
白い衣類も洗うたびにどんどん灰色になってくるのだそうです。
フランスでは漂白剤の他に黒物衣類専用の洗剤もあります。買ったことはありませんでしたが、よくテレビのCMで見ました。
なんと洗うほどに黒くなってくるのだとか!黒い服が好きなフランス人は多いので人気があります。
最後は、掃除用のスポンジです。リタがナントカにモップをかけているシーンに出てきます。
フランスではよく床拭きや台拭きにスポンジを使います。使ってみると布巾や雑巾よりもラクで意外と便利です。
挿絵に描かれているようなチーズみたいな穴のあるスポンジをよくスーパーでも見かけました。
親子で日本にはない文化を絵本の中に見つけ合いっこして、外国との違いについて色々想像しながら話し合うのも楽しいです。「なんで違うの?」という子供の疑問に全部答えられなくても、「なんでだと思う?」と逆に聞いてみて子供の無限大の発想力にハッとさせられるのも親の楽しみの1つであり、お互いにとって大切な時間だと思います。
(つづく)
著者プロフィール
福本舞衣子
家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、
フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。
著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。