―お母さまは、元々読書がお好きだったのですか?
ママ:私自身は、特に本が好きということはありませんでした。
絵本に出会ったのはお腹にまーちゃんがいたときで、その頃から読み聞かせていました。
でも、読んでいるうちに自分が夢中になってどんどん絵本の世界に引き込まれて…
―大人になってから出会う絵本は、また違う魅力がありますよね。
どんなふうに絵本を選んでいたのですか?
ママ:なんの知識もなかったので、図書館や本屋さんで「これいいな」「一緒に読みたいな」
と思う絵本を選んでいました。
まーちゃんが生まれていよいよ育児が始まってからは、
睡眠不足で心身共に疲れてしまうことがあって…
―育児で辛いのは、睡眠不足との戦いですよね。夜中何度も起きたり、泣いたり…
ママ:実家で美容室をやっているので、娘を隣室のリビングで寝かしながら仕事をしていたのですが、そうすると、日中ぐっすり寝てしまうんですね。そしたら、夜寝なくなっちゃって。
―そうですね…私もついやってしまいます。在宅で仕事をしていると、
昼に寝てくれると助かるので甘えてしまうけれど、夜にしわ寄せがくるんですよね…
ママ:こっちは仕事と育児でもう眠いのに、なかなか寝ないこの子を抱っこしながらつらいよ~、なんて。
でも、イライラしたくない、という思いでベランダに出てあやしていたら
遠くにショッピングモールの電気が見えて「あ、あそこでもがんばってるんだ」なんて励まされたりして…
泣いているまーちゃんと、自分をなぐさめるために、絵本を広げたこともありました。
―お母さま自身の心を落ち着かせるために読まれていたのですね。
ママ:はじめは意思疎通もなかなか取れないし、
自分が癒されるために読んでいた部分もありましたね。
おすすめ絵本とかはあまり気にしませんでした。
そのうちにまーちゃんの反応を見て絵本をピックアップして、
だんだんと言葉を話すようになったら自ら選ぶようになり、
そこからその日の気持ちを知ることができるようになりました。
―Instagramの紹介文を読んでいて、まーちゃんの語彙力に驚かされることもあります。
ママ:自分が癒されたかったこともありますが、とにかく彼女にたくさんの
「言葉のシャワー」を浴びせたいな、と思ったんです。
なるべく前向きな、イライラしても落ち着けるような、魔法のような言葉を、
絵本の力を借りながら伝えていました。
まーちゃん:あんまり、悲しい絵本とか、トラウマ絵本とかはないと思います。
まーちゃんのおうちにある、絵本の一部。言葉のシャワーの源泉となった。
―今回、おばあさまにも同席いただいているのですが、
言葉のシャワーについて皆さんで気をつけていらっしゃったのでしょうか。
おばあちゃん:そうですね。一番印象に残っているのは2歳くらいの頃でしょうか。
私達が仕事をしている間、まーちゃんはリビングで過ごしているんですけど、
飽きるとどうしてもお店に来たがるんですよね。
でもそこで「忙しいから来ちゃだめ」と言ってしまっては傷ついてしまうでしょう。
―はい。私も料理中など「危ないから来ちゃだめ」とかつい言ってしまいます。
理由を伝えても、拒否されていることは同じですよね…
おばあちゃん:事実をただ伝えるより「シンデレラ、王子が2階にお迎えに来るわ」と。
「ガラスの靴忘れないでね!」と言うんです。すると「そうね!」と言ってまた部屋に戻ってくれるんですよ。
ファンタジー要素を持たせることで、彼女も待つことを理解しつつ、楽しんでくれていました。
―なるほど~。うちもお風呂上がりに「早くおむつはきなさい」とか
「下着を着なさい」と言うと「(アナと雪の女王の)エルサなの!」と返されるんです。
ママ:そういうときはフル活用して「おしりが凍るわ!大変だわ!」って言うといいですよ。
―そうですね! 今度、やってみます。
(※実践してみると、すぐに履くようになりました 笑)
ママ:朝遅いとミュージカル調にして賑やかな雰囲気を演出するとか…とにかく、
いかに怒らずにするかという賭けでもあったんですよね。注意すべきときはしますが、
そうでないときはなるべくイライラしたくないので…でも極め過ぎてファンタジーが強くなっちゃったかもしれません(笑)
―ファンタジーは、現実からちょっと飛び出せるので気分転換になりますよね。
リアルな物語より、ファンタジーのほうが、同じテーマでもワンクッション置かれていて
リセットできるんじゃないかな、と思います。
そんな世界観が日常にあるのはとても素敵ですね。
ママ:常に明るく、楽しく、を意識していたように思います。
だから、うちにある絵本にはあまり悲しい絵本やトラウマになる絵本がないんです。
昔話などのほかに「また明日はいい一日が待っているよ」
「あなたはそのままでいいんだよ」といった内容の絵本が多いですね。
―毎日を明るく過ごすための、欠かせないアイテムとして絵本が存在していたのですね。
ママ:そうですね。昔も今も、ずっと絵本に助けてもらっている感じです。
今、Instagramをきっかけにして、またこうしてまーちゃんと本屋に行って
絵本を選ぶ楽しみができるなんて、思ってもみませんでした。
(つづく)