【第1回】リサとガスパールのパリ案内

うさぎでも犬でもない、人間と共存するリサとガスパール、その絵本はシリーズ数十冊の他にことばあそび絵本や大型絵本なども出ています。

 

 

作者はパリに住むアン・グットマン(Anne Gutman)とゲオルク・ハレンスレーベン(Georg Hallensleben)。

実は2人は夫婦なのです。妻のアン・グットマンが文を担当し、夫のゲオルク・ハレンスレーベンが絵を描いています。

元々画家だったハレンスレーベンが描く、絵本『リサとガスパール』のイラストは油絵で描かれていてとても魅力的です。

青色のコアラが主人公の『ペネロペ』(Pénélope)も2人の作品で多くのシリーズが出版されています。

 

『リサとガスパール』の原作フランス語タイトルは『Gaspard et Lisa』で、ガスパールの名の方が先に書かれてあり、『Lisa』もフランス語では「リザ」と発音します。

 

さて、登場するパリの街で有名なのはまずポンピドゥー・センター。リサはこのポンピドゥー・センターに住んでいるのです!

『リサのおうち(La maison de Lisa)』で1冊を通して登場します。昨年40周年を迎えたポンピドゥー・センターを記念して刊行された『Gaspard et Lisa au Centre Pompidou』でもたっぷり登場します。

このポンピドゥー・センターのある辺りは、昔あまり治安が良くないと聞いていたのでパリに住みながらもほとんど行ったことがありませんでした。

しかし昨年の秋、本当に久しぶりにこの界隈、レ・アールに友達の案内で行って、雰囲気も変わって明るく治安も良くなっていると感じました。なんだかリサが似合う楽しい場所になっていました。

 

(ポンピドゥー・センター/Instagram:@fuku.fukuu)

 

他にパリといったらのエッフェル塔やサクレ・クール寺院、ノートルダム寺院、ギャラリー・ラファイエットデパート、リュクサンブール公園などたくさんの人気パリスポットが絵本に出てきます。

 

観光スポット以外にもパリの至るところで見かけるColonne Morrisという濃い緑色でおしゃれな屋根がついた広告塔や、

街中にたくさん置かれているガラス瓶専用の回収ボックスなどパリらしい風景が絵本の中に描かれています。

さすがワインの国とも言うべきこの瓶専用回収ボックス、私が住んでいたアパルトマンの近くにも設置されていたのですが、

この中の瓶ゴミを回収するときにものすごい音がなるので最初はびっくりして何事かと窓から外を覗きました。するとこの巨大な緑色(最近はグレーカラー)の瓶回収ボックスが宙高くに吊り上げられていて…そうやって回収するのか!

と衝撃を受けたことが懐かしく、そのやり方がとてもフランスらしいと思いました。

 

(パリの瓶回収ボックス/@fuku.fukuu)

 

それから前回の『リタとナントカ』のときにご紹介したフランスの学校かばん“cartable”(カルターブル)も『リサとガスパールのしんがっき(La rentrée de Gaspard et Lisa)』で2人が背負っています。

 

『リサのいもうと(La petite sœur de Lisa)』では学校にリサを迎えにくるおばあちゃんが登場。いつもはお母さんなのかおばあちゃんが来たことに戸惑うリサ。これも前に『あるばん、あるねこ…』でご紹介したフランスでは大人の学校の送り迎えが当たり前というフランス文化です。

『リサのすてきなスカーフ(Lisa a des poux)』のシラミのエピソードもフランスならではですね。フランスの幼稚園や小学校ではシラミが必ずといっていいほど誰かから出ます。私が通っていたときももちろんお知らせがありました。

 

(パリの広告塔Colonne Morris/@fuku.fukuu)

 

『リサとガスパール』シリーズは子供だけではなく、パリやフランスが好きな大人も楽しめる絵本なのです。

 

(つづく)


著者プロフィール

福本舞衣子

家族とともに1歳でフランスに渡り、計約10年間、幼少期と10代をパリで過ごす。高校時代は、地元フランスの進学校のL文系へ進み、

フランス文学や詩について学ぶ。日本の大学でもフランス語を専攻。現在は日本在住。

著書に『星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉』がある。

星の王子さまが話してくれた世界一幸せになれる33の言葉

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