第一回 本が読者にとどくまで

シロクマ:今日はよろしくお願いします。はじめに、小張さんから自己紹介をお願いします。

 

小張:僕は松谷みよ子さんの『いないいないばあ』などを出している

童心社という出版社に勤めていました。そこでは、営業という仕事をしていたんですね。

営業ってどういう仕事か、というのを、出版社から読者にいくまでの流れを含めて説明しようと、

今回図を書いてみました。

 

 

小張一般の方が本を入手するとき、書店を通して買う場合と、

図書館に入ったものを読む場合があります。ほかに、学校や幼稚園・保育園でこども達が読む場合や、

生協や通販、カタログギフト、ネット書店、例えばアマゾンや楽天などから買う場合があります。

あとは、出版社のHPから直接買ってもらうこともありますね。

一般的には取次・書店ルートといって、書店でお客さんが購入するのが多いですね。

 

まーちゃんママ:全然知らない世界だね。

 

小張:そのなかで、営業は取次会社に行って書店さんに配本といって、

ここに配ってくださいってお願いしたり、書店を訪問して、今度新刊でるから10部売ってください、

とかお願いしに行きます。新刊だけじゃなく、季節に応じて、たとえばクリスマスのフェアがあると

チラシを作って、売り場に並べてくださいってお願いするんですね。

新刊と併せてシリーズの既刊や一巻目を売ることもあります。それが営業のメインの仕事ですね。

 

まーちゃん:どこの出版社さんも同じですか?

 

小張:児童書以外の出版社もだいたい同じです。ただ、児童書出版社に特有なこととして、

いかに図書館や幼稚園に入れてもらうかというのも大事になってくるんです。

だから書店と同じように図書館や幼稚園にも新刊の営業に行くし、

童心社は紙芝居からはじまった出版社ということもあって、こども達の前で紙芝居を見せて、

反応を先生に見てもらいながら仕入れを決めてもらって。

 

まーちゃん:はい

 

小張:出版社と言うと編集者と言うイメージがあるけれど、

営業に配属されて初めてこういう世界を知ったんですね。

営業がいるから本がまわるんだなって思いました。

表にはなかなか出ないけれど、書店に行った時にスーツ姿の人が店員さんと話していたら、

それはもしかしたら営業の人かもしれません。黒子といえば黒子だけどやりがいはある。

 

ひるねこBOOKS店主の小張さん

 

まーちゃんママ:今まで行くばっかり、楽しみで。こんな苦労があったなんて。

 

小張:東京で作った拡材やチラシなどを配ってもらうため、

地域ごとに担当している人もいます。営業担当としてはこういうフェアを打ちたいから、

とデザイナーさんにチラシを作って、と頼んで。

それを管理する仕事があります。外回りと、中にいて指示をするという細かい仕事がある。

すごく楽しいし、やりがいはとてもあります。

 

まーちゃんママ:本屋さんに行きたい、と毎日のように行くんです。変化ないでしょ、

っていうんですけど、なにかしらの変化に気づいていて、楽しみにしています。

 

小張:本屋さんには毎日何百、絵本でも何十冊の本が届いて、全部並べることは難しいけれど、

入ってきたものをいかに並べるかが大変でもあり、楽しみですね。

 

まーちゃんママ:並べ方も大事なポイントですよね。

 

小張:今度本屋さんに行って、並べ方に気づいたら、さり気なく言うと喜ぶかもしれないですよ。

 

まーちゃんママ:こうしたほうがいいよって。

 

小張:それは怒るかも(笑)まーちゃんはいつもどういったところを一番に見に行くの?

 

まーちゃん:いつも文庫コーナーから入って、ハードカバーの方に行きます。

お店の並びが、入り口に文庫があって、そのあとハードカバーに続いていて。

一番どんつきに児童書や写真集があるので、癒されに写真集を眺めたりしています。

 

小張:学校の友達も本好きは多い?

 

まーちゃん:いつも一緒にいる友達は好きですね。本好きで集まっちゃうこともあります。

 

(つづく)

 

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プロフィール

ひるねこBOOKS(小張隆)

童心社の営業として8年間勤めた後「ひるねこBOOKS」を根津にオープン。絵本や一般書のほか、北欧をテーマにした雑貨や書籍も取り扱っている。地域と連携したイベントや展示なども行っており、地域密着型の本屋さんとして町の人に愛されている本屋さん。

ひるねこBOOKS HP

https://www.hirunekobooks.com/

 

まーちゃん・まーちゃんママ

中学一年生の頃から「朝絵本を読むと心が落ち着く」という理由から、ライフワークのひとつとしてInstagramにて絵本の紹介を行っている親子。フォロワー数は2017年11月時点で2700人を超え、育児や読み聞かせに悩む親御さんから支持を集めている。

Instagram @nikilove48

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