第二回 児童書出版社はなかよし

小張:図書館はどうですか?

 

まーちゃん:図書館は充実しています。読みたい本がなかったりすると頼んで入れてもらったり。

お願いしますって。乙一さんの本とか。意外と希望が叶うんです。いいよって。

 

小張:学校の図書館に入れてもらうには先生に見本を持って行くんです。

児童書の会社って小規模で10~20人なんです。

そうすると全国に見本を持って行くのは難しいから、10社、20社とかでグループを組んで行くんです。

数社分の見本が入ったダンボール15箱くらいを図書室に運び込んで。ときには3階まで上って。

そこで並べて、先生や生徒に来て選んでもらうんです。自社の本も買ってもらいたいけど、

グループの売り上げだから生徒がほしいっていうと買ってもらったりします。

 

まーちゃんママ:生徒も選ぶことができるんですか?

 

小張:学校によって先生だけが見ることもあれば、生徒がみて一人一冊希望の本を学校で購入する、

というところもあります。山の上にある学校だと生徒が自由に選べて、目を輝かせながら本が来た!

って言ってくれる姿を見られたり。童心社だと、怪談レストランが人気だったから、

新刊を見ると生徒が「なにこれ!みたことない!」と喜んでくれるので、

そういう姿を見られるのは嬉しいですね。

直接持っていかない学校はカタログだけで選んでもらいます。

生徒がみて選ぶ姿を見るのは楽しいですよ。

 

シロクマ:ライバル同士、という関係ではないんですね。

 

小張:わりと横のつながりがあるんです。ライバルという意識はないですね。

児童書の出版社に共通しているのが「こどもにいいものを届けたい。」という思いなので。

他の業界からはありえないと言われるでしょうね。

自分の会社の先輩だけでなく他社の先輩も先輩と思える。一体感があるのが独特ですね。

いい業界ですよ。

まーちゃんママ:絵本や児童書というものは中学や高校にも置いたらいいのにって思いますよね。

 

小張:それも先生や学校の方針によるので、絵本をたくさん買う高校もあるんです。

やっぱり一般的には買ってもらえないし、中学でも絵本は置かないということもある。

司書さんだったり、国語の先生だったり、選ぶ人の方針が反映されますね。

 

まーちゃんママ:今、中学になって振り返りはじめたときに、

ものすごくメンタルに働きかけてくれるんです。絵本の役割っておおきいなぁって感じるんです。

親としてみても思春期の乱れがちな時期に絵本ともう一度出会うことの大切さを実感します。

朝の読み聞かせとか、中学生もあったらいいですよね。

 

まーちゃん:今の時期に、あえての絵本というのは、すごく大きいよね。

 

まーちゃんママ:朝絵本を読んでくるんですけど、夜寝る前に翌朝紹介する絵本を読むということを

毎日していると、心が整うというか、落ち着いて行ってきますってなるよね。

みんなができるわけじゃないけれど、本人には合っているみたいで。

中学生が絵本を読む意味が、こんなにあるんだっていう。

 

小張:以前、どこかの中学の先生が実施されたことで、中学生に『いないないばあ』を

読み聞かせたんですね。最初の反応は「なんだこんな絵本」という反応なんですが、

だんだん読み進めていくとしずまりかえったんだそうです。ひきつけられたんですね。

そういうのがあればいじめはなくなるんじゃないかって思いました。

 

まーちゃんママ:わかります。戦争でさえなくなるんじゃないかって。

あそこまでわかりやすく絵と共に短い言葉で伝えるって。よっぽど時間は少ないし、

おすすめですよね。

 

まーちゃん:国語の授業で自分の好きな本を紹介する、という授業で私は絵本を紹介したんですけど、

そしたらみんなが「読みたい」って言ってくれて。貸してって。

みんなは小説とかを持ってきたなか、私だけ絵本だったんです。

みんな順番待ちの列ができてしまいました。

 

小張:どんな絵本を紹介したの?

 

まーちゃん:『アライバル』を紹介しました。文字がなくて、セピア色で描かれた絵本なんです。

絵が綺麗で繊細な感じで、かわいい絵本よりもみんな興味持ってくれるかなぁ、と思って。

 

(つづく)

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プロフィール

ひるねこBOOKS(小張隆)

童心社の営業として8年間勤めた後「ひるねこBOOKS」を根津にオープン。絵本や一般書のほか、北欧をテーマにした雑貨や書籍も取り扱っている。地域と連携したイベントや展示なども行っており、地域密着型の本屋さんとして町の人に愛されている本屋さん。

ひるねこBOOKS HP

https://www.hirunekobooks.com/

 

まーちゃん・まーちゃんママ

中学一年生の頃から「朝絵本を読むと心が落ち着く」という理由から、ライフワークのひとつとしてInstagramにて絵本の紹介を行っている親子。フォロワー数は2017年11月時点で2700人を超え、育児や読み聞かせに悩む親御さんから支持を集めている。

Instagram @nikilove48

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